だって、キミが好きだから。
店を出て、賑やかな繁華街の中を突き進む。
「る、琉衣……!ス、ストップ」
菜花が両手で俺の手を取り引き止めた。
「なんだよ?今すっげームカついてんだけど」
アオと2人きりになりたかったとか言うなよ?
んなこと言われたら、アオを殴らねーと気が済まねー。
「お、お金……払ってないから。戻らなきゃ」
「気にすんな。どうせ俺らの奢りだから」
淡々と返して菜花の腕を再び引っ張る。
「で、でも」
ったく。
こいつはいちいち律儀だな。
「いいから行くぞ」
ほっそい腕だな。
ちゃんと食ってんのかよ。
ちょっと強く握ったら、すぐ折れちまうんじゃねーのか。
「ど、どこ行くの……?」
「考えてねー。どこ行きたい?」
「え?」
とりあえず連れ出すのに必死だったしな。