だって、キミが好きだから。
「やっぱり、怒ってる?ずっと変だよ」
なんで目を合わせてくれないの?
ちゃんと話してくれないの?
「怒ってねーよ。変は変だな……それは自分でもわかってる」
「何かあったの?」
「別に……何もねーよ」
やっぱり琉衣は最後まで目を合わせてくれなかった。
あたしといるのが嫌なのかな。
でも、そんなこと聞けないよ。
もう少し一緒にいたいなんて、そんなことも絶対言えない。
「甘いもん好き?」
「え?」
甘いもの?
「この先にクレープ屋があんだけど、行くか?」
「え?う、うん……っ!」
モヤモヤした気持ちが、琉衣のひとことでパーッと明るくなった。
なんて単純なんだ、あたしは。
たったこれだけのことで、簡単に気持ちが変わるなんて。
「琉衣も甘いものが好きなの?」
そういえば、病院ではカフェオレを飲んでたよね。
好きなのかも。
「普通」
「そうなんだ。あたしは、甘いものならクレープが一番好き」
「へー、そっか。なら、勝手に連れ出したお詫びに奢ってやるよ」
「い、いや……っ!いいよ!」
「なんでそんな遠慮すんの?俺がいいっつってんのに」
「ダ、ダメだよ。悪いもん」
琉衣はどうして、何でもかんでも奢ってくれようとするんだろう。
あ!
あたし、お金持ってないと思われてる?
貧乏そうに見えるのかな。
そりゃ、お小遣いは月3000円だけどさ。