だって、キミが好きだから。


あたしと萌奈は高校に入ってから仲良くなった。


受験の時に席が隣だったのをお互い覚えていて、教室で顔を合わせて意気投合したのがきっかけ。


今では自慢の大親友で、萌奈のことが大好き。


柔道をやっている萌奈は、マッチョなんかじゃなくスラッとしててかなりの美人。


シュシュでひとつに結んだポニーテールの黒髪と、柔道着が良く似合う女の子。



「あ、矢沢(やざわ)君たちだ。朝から廊下にいるなんて、珍しいね」



1年の教室は1階にあって、中でもあたしたちの1組は廊下の突き当たりにある。


廊下の踊り場の前を通った時、萌奈が耳元でコソッとつぶやいた。



や、矢沢君……。


朝からぎゃあぎゃあ騒がしい男子の集団に、ちらっと目を向ける。


寒いにも関わらず、廊下で男子4人が床に座ってたむろしていた。


その中でも、圧倒的に目立つのが明るいオレンジ色の髪をしてる矢沢 琉衣斗(るいと)君。


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