だって、キミが好きだから。
「彼氏になるかならないかはわかんねーだろ?俺らが見極めてやるからさ。誘えないような仲とか言っといて、昨日一緒に出かけてたなんてな。それはぜひ会っとかねーと」
「うっ。で、でも!神田君に心配してもらわなくても大丈夫だからっ」
朔真君がいるから何だかすっごい気まずくて、身振り手振りで必死に否定する。
好きな人がいるってこと、朔真君に知られたくなかった。
朔真君に突っ込まれたら、うまく切り抜けられる自信がない。
「大丈夫じゃねーだろー」
神田君は納得がいかなそうにブツブツ言っている。
大丈夫だってば!
心の中でそう突っ込んだ時。
「北上さん、好きな奴いるんだ?」
今度は朔真君に突っ込まれた。
さっきまでとは打って変わって、驚くほど真剣な顔をしている。
心を射抜くような瞳に、伝えないと誓った琉衣への気持ちがバレるんじゃないかとヒヤヒヤした。
「…………」
「長年の付き合いだから言うけど。あいつはどうしようもないほどのバカだけど、マジでイイ奴だよ」
「…………」
うん。
知ってるよ。
琉衣が良い人だってこと。
琉衣のまっすぐな気持ちも。
知ってても、あたしにはどうすることも出来ないんだ。
返事の代わりに、拳をグッと握り締めた。