初恋の行く末
前に会ったラブホテルに向かう途中、翔が周りにいないかを確認する為に私は身なりをチェックするふりをして鏡を自分の顔に向ける。

左右、後ろを見る。

大丈夫。翔はいない。

緊張を隠しながらホテルへと向かった。


ホテルに到着すると今日は先に高橋が待っていた。

長身で細身の彼が壁際にもたれ掛かり佇む姿は様になっていて素敵だった。

まるでイケメン俳優のよう。写真に撮っておきたいぐらいだ。

「ごめん。待った?」

と言いながら高橋の元に駆け寄る。

「かなり待ったよ。」

冗談めかして優しい眼差しを私に向けながら軽くデコピンされた。

懐かしい!中学の時もよくデコピンされた。

当時は嫌だったけど今思い返すとあれは彼なりの愛情表現だったんだと後になって理解出来たんだ。

「急いで来たんだから」

私も怒るふりして背伸びしながらデコピンを返した。
「山中によくデコピンしたよな。冗談だったんだけど物凄い剣幕で当時は怒るんだもん」

また私をからかいながら言う

「だってバカにされてるみたいでムカついたんだもん。」

拗ねるように言って高橋の身体に頭を埋めた。


「もう部屋確保してるから行こう」

私の頭を優しく撫でながら高橋は部屋へと誘導した。
「うん」

高橋と手を繋ぎながら部屋へと向かった。
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