初恋の行く末
部屋に着いてドアを閉めたらすぐ高橋に抱きついてキスをせがんだ。

「せっかちだよ。山中」

私を強く抱きしめながら軽く唇を重ねた後に高橋は

「今日は後1時間くらいしか会えないから沢山、山中と話がしたい。」

と言い寂しそうに私を見た。

もしかして今日で終わりとかじゃないよね?

「うん。また会えるよね」

と心配になって私が言うと

「うん」

と言って私の頭を優しく撫でながら軽く唇に触れた。
それだけで私の身体中は熱くなった。

「安心した。じゃあエッチは次回…」

と私が言ったら言葉を遮るように唇を塞ぎ出し

「ねぇ山中はさ高校時代はどんな感じだったの?」

と聞いてきた。

「どうしたの?突然」

と言ったら

「知りたくてさ。俺の初恋の人がどう過ごしてきたか」
そう答えた。

"初恋の人"

お互い初恋だったんだ。

高橋がそう言ってくれたのが嬉しかった。

「私の高校時代は友達と帰りに買い物に行ったりとか休日にお互いの家に遊んだりとかしたのが楽しかった。高橋は?」

間違いではないが多少脚色した。
どちらかというと地味なグループで漫画、アニメにハマった高校生活。

男女交際は二次元的な…

さすがに言えなかった。

「俺は高校入って部活はしなくて友達とファミレス行ったり遊ぶ事が楽しかったな」

懐かしむように答えた。

「え!?野球しなかったの」

意外だった。

「中学の時は頑張ってやったけど高校はお洒落もしたいし友達と遊ぼうと思ってたんだ」

高校時代の話が聞けるなんて思わなかった。

まるで高校時代に戻ったみたいだ。

それから時間まで今までの時間を埋めるかのように高校、大学とお互いに語った。



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