初恋の行く末
友美とはあれから1時間ほど話をして別れた。
友美の妊娠は友人として嬉しかったが別の意味でもホッとしている。
高橋がやっと落ち着いた。
これでアイツの女遊びも収まるだろう
俺も余計な嫉妬をしなくていい。
久々に家で飲みたい気分になった。
意気揚々と帰宅途中にあったコンビニに行ってビールを選んでいたら
「小林先輩」
聞き覚えのある声に振り返ったら大学時代のサークルの後輩、渡辺だった。
前会った時と変わらない。当時の幼さを残したままだな。
こういう妹いたら美人だし可愛がったかもしれない。
「おー渡辺!どうした?こんな所で」
前会った時は美保子と一緒だったから誘いをかわす事出来たけど今日は断るのに困難しそうだ。
「佳菜子の家が近いから今日は泊まりなんです」
と答えた。
「そうなんだ。じゃあまた皆で飲もうな」
と早々と会話を切り上げてレジに向かい歩き進めたら会計を済ませて俺の所に松木、港も来た。
松木が俺に腕組みをして来ながら
「小林先輩こんな所で会えるなんて偶然ですね。今佳菜子の家で飲んでいて小林先輩も是非」
と誘われた。
「いや今日は遠慮しとくよ」
慌てて断ったら今度は港が空いてる俺の左腕に腕組みをしてきて
「そんな事言わないで一緒に飲みましょうよ。小林先輩の好きなたこ焼きでパーティーしましょう」
としっこく誘ってきた。
二人に腕組みされて俺は身動きができない。
これは逃れられない!
あいつら悪気はないと思うけどこれやられたら誘いを受けるまでしっこく言われ続けるんだよな。
大学時代あいつらに付き合わされて大変だった事を思い出した。
観念して3人に
「付き合うけど明日用事あるから早く帰るよ」
と言い会計を済ませてコンビニを出た。
明日用事と言えばフィットネスに行くぐらいで特に入っていない。
美保子の体調も気になるし明日会えたら会いたいなぁ
でもゆっくり過ごしたいかな美保子。
連絡を取ろうか躊躇っていたら渡辺が
「小林先輩、今日は車ですか?」
と聞いてきた。
「あぁ、今開けるから後ろに乗って」
と鍵を開けたら渡辺は助手席に乗り込み
「やった!私小林先輩の隣」
とキャキャっと無邪気に笑った。
本当に憎めない奴だ。
この笑顔で言われたら大体の男はやられるな。
俺は美保子が一番だけど
「おい!助手席は彼女指定席」
軽く怒った振りをして後ろの席に指をさして誘導したら
「じゃあ、次回はドライブに連れて行って下さいね」
と俺を誘いしぶしぶ納得して後ろに座った。
「お前ら俺の事、都合の良い運転手と思ってるだろう。早く彼氏見つけて連れて行って貰えよ」
そう言ったら渡辺は
「彼氏になるなら小林先輩がいい」
と言い俺を見つめた。
その真剣な眼差しにドキっとした。
冗談じゃなくまさか本気?
だとしたら尚更早く切り上げないとまずい。
早く帰る言い訳を考えながら車を走らせた。