初恋の行く末


トイレから出て売り場に戻り飲み物を買おうと探していたら翔がいて驚いた。

「美保子!何でこんな所にいるの?」

驚いたふりをして翔が言う。

白々しい演技に後をつけて来たんだと分かった。

「翔こそ今日から出張だって言ってたのに何故ここに?」

なるべく自然に見えるように言った。

「出張は延期。結構突然予定が変わるから困るよ。帰宅途中に美保子が普段乗らないバスに乗ったから気になって」

やっぱり!危ないところだった。

「うん。実はね体調が思わしくなくて病院に行こうと思って」

深刻そうに見えるようにうつ向きながら言った。

心配そうに私の顔を覗き込みながら翔は

「大丈夫?俺も心配だから一緒に行くよ」

と言った。

思ってた通りの反応だ。

「ありがとう。心強いよ。待ってて今会計済ませてくるね」

そう言って内心ビクビクしながらレジに向かった。
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