初恋の行く末
美保子がトイレから出てきて売り場に戻ってきた。
美保子は俺を見つけて、とても驚いた様子だった。
俺はなるだけ自然に見えるように演技をしながら
「美保子!何でこんな所にいるの?」
驚いた素振りを見せ言った。
「翔こそ今日から出張だって言ってたのに何故ここに?」
と美保子が聞いてきた。
「出張は延期。結構突然予定が変わるから困るよ。帰宅途中に美保子が普段乗らないバスに乗ったから気になって」
と言ったら
「うん。実はね体調が良くなくて病院に行こうと思って」
深刻そうに美保子が言う。
病院なら街中のほうが沢山ある。
でも体調によって専門の病院もあるから一概に嘘とは言えない。
美保子の表情は真剣そうに見えるし嘘をついているようにも見えない。
美保子の仕事も家に持ち帰る事が多いから体調を崩したのかもしれない。
大丈夫だろうか?
心配になって美保子の顔を覗きこみながら
「大丈夫?俺も心配だから一緒に行くよ」
と言った。
「ありがとう。心強いよ。待ってて今会計済ませてくるね」
そう言って美保子はレジに向かった。