初恋の行く末


病院に着いて美保子は受付を済ませていた。

心配で俺も一緒に待合室で待とうかと言ったら

"恥ずかしいし必要な時になったら翔も呼ぶから一階の休憩室でゆっくりしてて"

と言われてしまったので休憩室で待つ事にした。

産婦人科だけあってお腹の大きな女性もけっこういる。

旦那さんらしき人と一緒に来ている人もいてなんか気恥ずかしかった。

休憩室で取り敢えず飲み物だけ頼み美保子が来るのを待っていた。

待っている間、今起きた出来事を整理して置こうと考えて始めていたら意外と早く美保子が来た。

なんか心なしか表情が暗く感じる。

心配になり


「どうだった?」

と美保子に聞いた。


「…実はね。やっぱり妊娠してるって。2週目に入った所だって。」

このタイミングで妊娠を告げられて正直素直に喜べなかった。

本当に俺の子なのか?

さっきラブホテルの近くで高橋を目撃してしまったのでいまいち信憑性に欠ける。


「2週目…」

思わずこう呟いていた。


美保子とは避妊具もなしで毎回していたし危ないエッチも数知れず。
美保子は俺のそんな行為を怒る事なく受け入れた。

美保子が妊娠したら結婚しようと決めてはいたが高橋との疑惑が残ったままでは結婚に踏み切れない俺がいる。

器が小さいな俺。

多分一番不安なのは美保子だろうに…

俺の態度に不安になったのか

「ごめんね。突然こんな事言われても困るよね」

と言った。


「いや。あの突然の事で驚いて。これからの事とか考えてた」

高橋との事がなかったら大喜びしてたな多分。

これからの事2人で考えないといけない。

美保子に真実を問うのはさすがに出来ない。

もし高橋と続いていたら多分俺父親になれない気がする。


勝手だよな。美保子にあんな事しておいて

2週目だから時期からして確実に俺の可能性が高い。
でも高橋の可能性だってあるわけで…

「そうだよね。驚くよね」

美保子は口数が少なくなった。

「今後の事は後でゆっくり話すとして今日はもう遅いから夕飯食べて帰ろう」

本当は美保子を安心させる言葉を掛けたかったけど今の俺にはこれが精一杯だった。


「うん。そうだね」

美保子と街中で夕食を食べて家まで彼女を送り届けた。


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