初恋の行く末

仕事を猛スピードで片付けて明日の段取りもOK

今時期は仕事が落ち着いているから皆も定時上がりで帰りやすい。

急いで行きつけのスナック散歩道に直行だ。

美保子には今日は残業という事にしている。

会社からスナックまでは地下鉄で10分ほど。

地下鉄を出て15分ほど歩いてスナックに到着する。
スナックに入るとお客は俺一人。

いつものハイボールを頼み高橋が来るのを待った。

カクテルを二杯ほど飲み終えた頃に高橋が店に入ってきて

「お待たせ。小林はいつものハイボール?」

と俺の注文を確認してから高橋も同じ物を頼んだ。
そして俺も3杯目を注文した。


高橋の元にカクテルが運ばれて

「じゃあひとまず乾杯」

グラスを一度合わせてハイボールをお互い流し込んだ。

「あ、高橋これ」

結婚のお祝い金が入ったご祝儀袋を手渡す。

「いいのか?ありがとう!小林」

喜んで受け取った。

「友美から聞いたけど予定してた式と披露宴しないんだって」

事の真相に入りやすくする為に敢えてこの話題にした。

「まぁな。友美が結婚を機に前から考えていたお店を持って独立しようって。披露宴は取り止めて今物件探し」

友美あんなに披露宴にこだわってたのに

「友美あんなに披露宴したがってたのに?」

理由を聞いて見たかった。
「本当は数年後にしようと話はしてたけど、いい機会だし披露宴取り止めたら、その分お金も浮くしって友美が言ってくれたんだ。」

友美いい女すぎる。

高橋の夢を叶えたんだな

「友美いい女だな」

としみじみと言ったら

「俺みたいないい加減な奴にここまでしてくれるんだと感動したよ。友美ネイリストだしお店にも協力するって」

照れながら高橋は笑った。
「良かったな。もう友美泣かせんなよ。おまえ女遊びも大概にしろよ」

高橋は美保子とはどんな関係なんだ?

「友美、小林に言ったな」

高橋は冗談めかして言った後

「もうしないよ。これからは友美と子供一筋」

と言って幸せそうに笑った。

その様子に今後美保子と会う可能性はなさそうだと思った。

「そう言えば友美から聞いたけど小林おまえ彼女できたんだって」

高橋は興味津々な様子で聞いてきた。

「あぁ、高橋も知ってるだろう?山中美保子。おまえ中学時代一緒だったんだろう?」

そう言うと一瞬動揺したのちに

「はぁ!?」

と凄く驚いた。

そりゃそうだろう

「え!!いつから?付き合いだしたのって」

と質問してきたので

「半年くらい前からかな?ここのスナックで知り合って」

そう言ったら

「おまえ山中と結婚するの?」

と真剣な顔して聞いてきた

「するよ。多分。美保子も妊娠してるんだ」

と言ったら飲んでいたハイボールを高橋は吹き出し咳き込み出した。

この様子何かありそうだ。
「なんか小林ちょっと会わない間に急展開だな!!驚きすぎたわ今日」

高橋は汚れたテーブルを吹きながら言った。

「驚きついでにさ確認したいんだけどさ俺高橋と美保子がラブホテルの近くにいたの見たんだけど二人行ってた?」

顔色一つ変えず高橋は

「ラブホテル?何かの間違いじゃない?」

と否定した。

「俺街中で見かけたのと今日偶然ホテル近くのコンビニにいたの見たんだけど」

そう言うと高橋は思い出したように

「あぁ~実は山中に一度だけ会ったよ。美容院で偶然会って連絡先交換したけど小林が思ってるような密会じゃないし」

じゃあ何なんだ。

問い詰めると

「小林誤解するなよ。実は山中にカフェに呼び出されて告白された。でも俺には友美がいるし断ったら号泣してさ大変だったんだ」

と言い出した。

「ラブホテルで?」

嘘をついていると思い再度確認したら

「だから!それも違う!カラオケボックス行ったのは。ついでに今日コンビニで見かけたのは近くの産婦人科に用があったの。産婦人科」

語尾を強めていい更に

「俺は友美が好きなの!山中は俺にとって兄弟、妹みたいなもん。妹を抱けないだろう?」

確かに渡辺の時に体験したからその思いは理解出来る。

「本当にそうなのか?」

再度確認したら

「お前しっこいよ!山中はタイプじゃないから」

と若干切れた。

「ごめん。高橋、俺嫉妬して」

と謝ったら

「いいよ。俺も悪かった。お前相当、山中に惚れてんだな」

と言われた。

高橋に言われて改めてそうなんだと再認識をした。

「うん。久々こんな感じ。」
そう言ったら

「良かったな!!でいつ生まれるの?」

と聞いてきた。

「今2周目って言ってたからあと10か月後?」

詳しい予定日は聞いてないけど…

「じゃあ今日は二人親父になる事を祝福して乾杯しよう!今日ここ俺奢るよ」

と言って高橋は穏やかに笑った。



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