初恋の行く末
自宅に帰りリビングでくつろいでから山中にメールをしようとソファーに向かったら友美が興味津々な顔をして
「おかえり!小林の彼女の事聞けた?」
と言ってきた。
「あぁ、驚いたよ。俺の中学の同級生と付き合っていてしかも彼女妊娠してるらしい。多分近く結婚するって」
そう友美に言ったら
「え!!もうそんなところまで進んでたんだ。良かった。めでたいね。今度連絡してお祝いしなきゃね。
ところでどの子だろう?私の知ってる子?」
と聞いてきた。
実は友美と俺は中学時代も同じ学校だったらしい。
一緒のクラスになった事がなかったから知らなかった。
というより当時は山中にしか眼中になかったから気付いてなかったんだろう。
「山中美保子っていうんだけど知ってる?」
友美に聞いたら
「山中美保子…」
しばらく考えて
「あっ!1年の時同じクラスだったかも。グループが違ったからあまり話した事なかったけど確か可愛い子だったよね?」
と言った。
「え!?そうなの?すごい偶然だね」
驚きの事実が発覚した。
一緒になった学年が違うけど3人とも同級生なんてシャレにならない。
山中と友美が友人でなくて救われた。
「直人は山中さんとはいつの時代の同級生なの?」
友美に聞かれ
「中学3年の時だよ。」
と答えた。
「へぇ。なんか中学時代が懐かしい。当時山中さんとはあまり話した事なかったけど本当は仲良くなってみたかったんだよね。小林と結婚するなら私友達になれるかも?楽しみ」
と言って嬉しそうに笑った。
俺は冷や汗が出た。
なかなかに危ない展開だ。
友美と山中が近い将来友人になったら楽しいかもしれないけど今時期はまずい。
「そう言えば話変わるけど明日の休み一緒に不動産屋さんに付き合って欲しいんだけどいい?」
これ以上中学時代の話をするのはヤバいので慌てて話題を変えた。
友美は疑う様子もなく
「了解」
と言ってそれから中学時代の話は出なかった。
大丈夫。バレてない様子だ。
今日山中にメールするのは危険な感じがしたので明日にでも送ろうと思った。