初恋の行く末
友美の初恋
彼との出会いは中学時代だった。
高橋直人。野球部に入っていていつも友達とじゃれあっていた姿が印象的だった。
直人とはクラスは違ったが私は彼を知っていた。
当時テニス部に入っていた私はテニスコートからよく彼を見ていた。
ある事がきっかけとなり私は彼をテニスコートから見つめるようになった。
そうあれは部活帰りたまたま1人で帰る事になった私はチャンスとばかりに内緒で持ってきたサクランボ柄の可愛いヘアピンをこっそり髪につけた。
似合わないのは分かっていたけどヘアピンをつけた事が嬉しかった。
私は背が高くて胸もなく肩幅もあったからまるで男性みたいだった。
今もそうだけど…
当然男子ではなく女性に好意を持たれる事が多かった。
そんな私に男子も女子もまるで男扱い。
いつも明るく笑ってごまかしていたけど正直傷ついていた。
中学時代、高校時代と私は周りに合わせて必要以上に男ぽく見せてた。
だから女性らしい物が好きだったけど学校には持っていかなかった。
持っていったら男子にからかわれるからだ。
あと女子には似合わないと言われるのが嫌で持っていかなかった。
でもその日は家に大好きな従姉妹のお姉ちゃんが遊びに来ているからせめて小物は可愛い物をつけてお姉ちゃんに顔見せしたかった。
身支度を済ませ教室から出て階段を降りて下駄箱に向かおうとしたらクラスの男子と直人にすれ違った。
「松田お前いつから女性になったの?」
と直人の隣にいた同じクラスの男子は私をからかった。
いつもみたく男子に蹴りを入れて文句を言ってやろうと思っていたら直人が
「お前それひどくない?謝れよ」
とクラスの男子に怒ってくれた。
「悪かったよ」
とクラスメートの男子はしぶしぶ謝ってその場を去った。
直人は私に
「気にすんなよ。」
と言って人なっこい笑顔を見せて去っていった。
彼と交わした会話はそれだけだったけど私の胸は熱くなって直人の後ろ姿をずっと目で追っていた。
こんな人は初めてだった。
私が初めて異性として意識した瞬間だった。
直人とは偶然にも同じ高校でしかも同じクラスにもなれた。
大学時代に告白された時は嬉しすぎて号泣したのを覚えてる。
私の淡い初恋は実り直人と結婚もする。
彼が遊びで他の女性に一時気持ちがいっても私の直人を想う気持ちは変わらない。
きっとずっと好き
直人の側で明るく笑っていられたら幸せなのだ