初恋の行く末
美保子を抱いた後もう少し甘い時間に浸っていようと彼女の頭を撫で上げながら後ろから抱き締めていたら彼女が
「ねぇ、どうしてあの日から連絡がメールだけになったの?」
と聞いてきた。
「あの日?」
美保子の言っている意味を確認したくて聞き返した。
「私の妊娠が分かってから翔、連絡くれなくなった。妊娠が迷惑だったの?」
彼女にこう言われた。
「違うよ。仕事の残業や飲み会が続いただけだよ」
美保子は誤解いをしているので慌てて言った。
妊娠が迷惑なんて事はなかった。
ただ高橋の事があったから父親になる覚悟が持てなかった。
でも今は多分大丈夫だ。
というより父親になる覚悟以前の問題で美保子の気持ちが分からなくて不安なんだ。
「でも前だったら電話くれてた。私に会いたくない理由あったんじゃない?」
美保子は泣きながらこう言った。
彼女の泣き顔を見て初めて分かった。
あぁ俺、自分の気持ちばかりで彼女を不安にさせてたんだな。
安心させたくて
「違うよ美保子。実は会社の上司や友達に近く結婚するからと伝えてたんだ」
彼女を強く抱き締めてこう伝えた。
子供の事もあるし美保子と早く籍を入れたかった。
彼女を手に入れたかった。
「え!?結婚?」
彼女は驚いた顔をして確認した。
突然の結婚の話だから驚いたんだろう。
何にも将来の事話していなかったしな。
「私と?」
と聞いてきたので
「もちろん。結婚しよう」
どさくさに紛れてプロポーズをした。
さっきの美保子の泣き顔を見たらプロポーズ断られない気がしていたが美保子は喜ぶどころか怒り
「どうして先に私に結婚の事話をしてくれないの?お互いに納得してから友達とか上司じゃないの?」
と言ってきた。
確かに美保子の言う通りだ。
でも勇気がなかった俺は外堀を埋める事を優先した。
俺が悪いのに
「じゃあ俺が先にプロポーズしたら受けてくれた?高橋の事まだ好きなんじゃないの?」
つい今まで抑えてきた美保子に対しての不安が口に出てしまった。
美保子は一瞬口ごもり
「翔は高橋の事ずっと気にしながら私と付き合ってきたの?」
と聞いてきた。
「そうだよ。だっておかしいだろう?ラブホテルの近くで2回も2人を目撃するなんて疑うだろう?」
今まで美保子に感じていた疑惑をぶちまけていた。
美保子は何も言わず泣いたまま俺の家を出ていった。
彼女を追いかけようとは思ったが出来なくて後ろ姿をただ見送った。