初恋の行く末

「翔に伝えたい事2つ目なんだけど…」

言いながら持ってきたアップルパイをリビングのテーブルの上に置いた。

いよいよだ。

緊張した面持ちで彼に

「前に好きだって言ってたから沢山作ってきたの」

と言う。

彼は私の話を真剣に聞いていた。

ただアップルパイの意味が分からずキョトンとしながらも

「ありがと。覚えてくれてたんだね」

と笑って言ってくれた。

その笑顔にキュンとしてしまった。

「後ね、もう1つ貰って欲しいのがあって…」

いよいよだ。緊張しながら続けた。

「私とこの子も貰って下さい」

彼に逆プロポーズしたのだった。

「え!?貰って!?どういう意味?」

意味が通じてないみたいだったので言葉を足した。

「翔の家族にしてください」

と言って私は正座をしてお辞儀をした。


彼は驚いた様子で暫く考えこんでいた後で終始笑顔でこう聞いてきた。


「それって逆プロポーズ?」

「はい。身も心も私はあなたの物になりたい…OKなら私の頭のリボンをほどいて」

そう言った。

緊張した面持ちで返事を待っていると彼は私の隣に来て優しく見つめながら

「はい。喜んで。これから家族になっていこう」

と言って私の頭のリボンをほどいて軽くキスをした。

嬉しくて号泣してしまったら彼も感極まったみたいで2人で泣いた。

泣いた後、翔は

「ねえ?頭のリボンはどういう意味だったの?」

と聞いてきた。

私が用意した秘密兵器は、まったく翔には伝わらなかった。

予定では彼がリボンを外して盛り上がるはずの演出。

今更伝えるのは恥ずかしかったが

「つまり私とお腹の子がプレゼントでラッピングに見立てて頭にリボンというベタな演出だったんだけど…」

赤面しながら伝えた。

「へぇ~プレゼントねぇ」

ニヤニヤしながら翔は私の頭のリボンを結び直し

「身も心も俺の物だしね」

そう言いながらまたリボンをほどいた。

幸せそうな翔の顔を見て私は嬉しかった。

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