初恋の行く末

紙幣作りを始めてから約一時間ほど経った。

最初は集中して作業に没頭できたが今は雑念が入ってきて困っている。


彼女は高橋を家に招いたのだろうか?

だとしたら二人はどう過ごしているのだろう?

二人がこの部屋にいる映像が浮かんで作業がはかどらない。


浮かばないように頭を振り何度も打ち消した。

その様子を見て彼女は心配そうに

「どうしたの?」

と俺の顔を覗きこんだ。

アップになった彼女の顔に"今日高橋と会ってたの?"とつい口から出てしまいそうで焦った。

「なんでもないよ」

と俺は答えて作業に没頭するふりをした。




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