偽悪役者
「柊の所在は割れてるんだ。逢沢兄妹の二の舞にならないようにしないとな。」


「はい。翁さんとも話して、連絡は密にするようにしました。」



季更津は12年前の時点で目障りだった莉央と深緒を特定していたが、施設に入ったことで所在が不明となり、3年前偶然2人を見かけたことで痴愚思に探させたようだ。



季更津や痴愚思は、逆恨みや報復といったことが容易に想像がつく人格をしていた。


莉央と深緒よりも逃げ場の無い静音は出所時期等に特に気を付けなければならないと、対策は講じているものの、要の頭の中に不安は尽きない。



「まぁ今は服役中だ。今すぐというわけではない。しかし、今回の件は、関係性もそうだが、なんだか全てが複雑なようだな。」


「ケア優先で思春期でしたし、中学以前のことは俺達も聞きませんでしたからね。3年前のように静音1人で片が付く話ではありませんが、あの様子じゃ素直に話すとも思えません。」



「柊のことは一旦様子見だ。周り次第、あいつらの受け止め方に期待しよう。」


「そうですね。」



明日、2係の雰囲気はどう変化するのか。


篠宮と要にとって、仕事以上に気になるのは確かだった。
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