偽悪役者
「柊から連絡があった。織端玲斗に呼び出されたそうだ。」


「呼び出されたって、一緒に働いてるんじゃないんですか?」



静音は玲斗と共に診療所に勤めている。


橘の言う通り、呼び出されたは可笑しな表現だ。



「ああ、すまんすまん。話があると言われたようでな。時間は明日、診療が終わってからの20時ぐらい。診療所からの行き場所は不明、移動手段も不明だが、準備を頼む。」



「どんな手段で移動しても良いようにGPSと盗聴機を用意するっス。」


「バッチリ拾えるやつよ。」



轢本はやる気満々に背中をバシバシ叩くが、やられた羮芻は涙目で痛そうだ。



「重要参考人の話を流してから初めてのことですね。」


「係長の策、はまりましたね。」



「油断は出来んがな。篠宮と椎名、来栖と橘の2班で柊と織端玲斗を追尾。仁科は蒜崖雅、厄塒は伽虐琅提、卍擽は千影鏡鵺、それぞれを尾行し動向を監視だ。幡牛と遁苺、用意を頼む。」



「「了解。」」



「ヘマするなよ。」


「分かってますー」



橘は唇を尖らせるが、来栖の目は信用しているように見えなかった。



静音にも機材を渡し、全員準備を整えた。
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