偽悪役者
「じゃ、また連絡ちょうだい。今度は本当の携帯番号で。」



耳元で囁いた後ニッコリ微笑むと、固まる静音をそのままに離れた。



「僕はこれで。明日伺います。」


「……ええ。お願いします。」



不自然なくらいのトーンで仁科は返答するし、突然のことに静音以外も驚きを隠せなかった。



「ただいま戻りましたー」


「おー、皆おかえり。ご苦労さん。」


「「おかえりなさーい。」」



元気よく帰ってきた橘と続くみなに、優しく都澄と幡牛と遁苺が出迎える。



「静音!大丈夫なのか?怪我は?見た感じ大丈夫そうだけど、何もされてない?」


「う、うん……大丈夫。」



ボディチェックをするように、静音の全身を触りまくり要は落ち着かない。



「見たら分かるじゃないっスか。心配症っスね。」


「これだけ萌えないボディタッチは珍しいわね。」



羮芻の言うことは最もだが、轢夲の着眼点はどこかずれている。



「報告きてからずっとあれなんスよー部屋中行ったり来たり。」


「すまんな。今は大目に見てやってくれ。」



現場に居なかった要の方が動揺しているらしい。


篠宮は代わりに謝っておく。
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