偽悪役者
「私、今まで人に恋愛感情を持ったことはありませんよ。玲斗にも言ったんですけど、母のこととか、ペテン師夜鷹のこととか、岨聚達のこととか。そんなことばかりに気持ちがいってたので、誰かを好きになるとか付き合うとかは……もちろん、人としての好きはたくさんいますけど。」
嘘はない。
誰かを恋愛対象として見れる心の余裕など、今までの静音にはなかった。
「でもあの時、織端玲斗は柊を抱き締めていたし…、柊はなんとなく嬉しそうだったし…」
「抱き締め……?あれは…、聞いてませんから理由は知りません。嬉しそうだったのは、さっきも言いましたけど玲斗にもう偽らなくていいと言われたことに対してだと思いますけど。…………てゆうか、私、嬉しそうだったんですか。」
抱き締めた理由について断ったし推測ではあるが、最後に一度だけというやつかもしれないと、静音は勝手に思っている。
あれから玲斗から何も言われていないのもあるが。
それに玲斗の言葉に驚きすぎて、自分のした表情など覚えていない。
「そう、なの……?」
「そうです。」
「そうなんだ。」
静音の言葉に、椎名は嬉しそうに頷いていた。
嘘はない。
誰かを恋愛対象として見れる心の余裕など、今までの静音にはなかった。
「でもあの時、織端玲斗は柊を抱き締めていたし…、柊はなんとなく嬉しそうだったし…」
「抱き締め……?あれは…、聞いてませんから理由は知りません。嬉しそうだったのは、さっきも言いましたけど玲斗にもう偽らなくていいと言われたことに対してだと思いますけど。…………てゆうか、私、嬉しそうだったんですか。」
抱き締めた理由について断ったし推測ではあるが、最後に一度だけというやつかもしれないと、静音は勝手に思っている。
あれから玲斗から何も言われていないのもあるが。
それに玲斗の言葉に驚きすぎて、自分のした表情など覚えていない。
「そう、なの……?」
「そうです。」
「そうなんだ。」
静音の言葉に、椎名は嬉しそうに頷いていた。