偽悪役者
「おじさんの名前は篠宮っていうんだ。」


「しの、みや…?」


「そうだ。おじさんはな、こう見えてもお巡りさんなんだ。」



覆面パトカーの警らに加え、厳密に言えば勤務時間外なので制服を着ていない。



「おじさんがな、お巡りさんになったのは子供の頃に迷子になって、その時にお巡りさん助けてもらったからなんだ。」



当時流行っていた刑事ドラマの影響で、夢多き少年達の遊びの定番は刑事ごっこだったが、現実味の無いそれに篠宮は乗り気になれず眺めているだけだった。



しかし、夢は夢。


叶えることもなく、違う道を歩んでいる同級生は少なくない。



実際に叶えて、今も努力出来ることは篠宮にとって誇りの1つだ。



「おじさんの仕事は、怪しい人がいないか、困った人はいないか見回りすることなんだ。例えば、落とし物をした人が来たり、落とし物を拾った人が来たり。おじさんみたいに迷子になった人を助けたり、道案内をしたり。喧嘩してるしてる人がいたら止めたり、君達のような子供を保護したりな。」



静音の見た目が小学高学年~中学生ぐらいだが、篠宮には年齢が分からないのでとりあえず分かりやすく話すようにした。
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