偽悪役者
「みんな集まってくれ。」



和気藹々とした雰囲気を一変させたのは、係長である都澄(ツズミ)警部56歳。


続くその後ろには、静音の後輩である橘(タチバナ)巡査部長26歳とその教育係の来栖(クルス)巡査部長35歳がいた。



「おはよ。朝から呼び出し?」


「そ。資料運び。」



2係配属と巡査部長歴は静音の方が1年長いが、同じ学年の為2人はタメ口で話す。


が。



「橘、同い年でも先輩なんだから敬語を使え。柊もいい加減それらしくしろ。」


「「はーい。」」



タメ口を来栖は良く思っておらず、度々注意する。


しかし、静音と橘は返事だけであることは明白で、来栖の眉間には皺が寄っている。



「事件ですか?」


「ああ。今朝、脅迫状が届いた。これだ。」



要に聞かれ都澄が示したそれは、ビニールに入れられた脅迫状。



【愛している
      迎えにいくよ】



「なんスか、これ?ストーカー?」


「なんかシンプル過ぎません?脅迫状ならもっとこう…血文字とか、殺すとか…恐怖をそそるような感じにしないと。」


「そそるって…それ、轢夲さんの趣味じゃないッスか。」
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