偽悪役者
「同窓会なら通知来てるだろ?休みも言わないし、行かないつもりだったのか?」



中学の同窓会、確実な休みは取れなくとも相談ぐらいはするはずだと来栖は思う。



「…行きませんよ。私、仕事人間ですからねー。眉間に皺寄せて、後輩イビっている誰かさんとは違うので。」


「俺はそんなことはしていない。」



「自覚あるんですね。」



「…2人とも止めなさい。」



ニヤリと笑う静音はもういつも通りで、今にも怒鳴り出しそうな来栖を前に要は両者成敗で治める。



「行かない予定にしても、柊は面が割れているからどうするか…」


「フリーターで通ります。警官って中学の人間は誰も知らないので大丈夫です。」



「って、同窓会に出席したら一番良いんじゃない?」



都澄と静音の会話に、轢夲は最もな疑問を口にする。



「同窓会出ながらじゃ、捜査に集中出来ませんし。そもそも行くつもり無かったんで、問題ないです。」


「確かにそうね。柊の苦痛に歪む顔は見たいけど、捜査に支障が出るのは困るから今回は我慢しておくわ。」



捜査は苦痛ではないし、我慢のしどころが間違っているのは、轢夲にとっては最早普通だ。
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