偽悪役者
季更津達の逮捕から数ヶ月。



一課や組対に断りを入れ捜査中だが、篠宮·要·翁の3人と一緒に莉央と深緒のお墓を建てた。



約束通り、静音の希望通り、両親の隣へ。


季更津達の逮捕と、嬉しいある報告を兼ねて。



「静音、帰ろうか。」


「うん。」



篠宮に促され帰ろうとして、一瞬だけ振り返る。



ほら、ちゃんと見付けられたじゃない。


ああ、これでいつでも会えるな。



深緒と莉央はそう言ってそうだ。


お墓に微笑みながら、静音は何となくそんな気がした。



「んで昇進の推薦がお前なんだよ!」


「知りませんよ。普段の態度じゃないんですか?」



「普段……も、俺の方が良いに決まってる。季更津も痴愚思も、逮捕したのは俺だぞ?」


「手錠掛けただけじゃないですか。刑事として普通なこと威張らないでください。」



季更津の逮捕時は息を潜めていた小競り合いも、今ではすっかり元通りだ。



「確かに。それは柊の言う通りだな。」


「ちょっと厄塒さん!俺の味方じゃないんですか?!」


「俺は被害者の味方だ。それより卍擽、課長が呼んでたぞ。」


「げ……い、行ってきます。」
< 98 / 164 >

この作品をシェア

pagetop