一番がいい!!〜番外編〜
園内列車は、園内をゆっくり40分くらいかけて回る。
5カ所の停車駅があって、乗り降りができる。
オレたちは、一番後ろに座りゆっくり景色と列車内に流れるクリスマスソングを楽しんだ。
一周回って戻ってきた。
「花火始まるね!
何処で見る?」
少し元気になった遊実は、ウキウキしながら空を見上げた。
「大丈夫そうなら、もう少し先のところが穴場ポイントだって。
行ってみる?」
「うん! 行こう」
オレの手を引っ張り歩き出した。
本当に穴場だったのか、あまり人がいなかった。
空いてるベンチに座り、花火がキレイに夜空に広がりだした。
今年は、一度きり
花火大会で遊実が言った言葉を思い出した。
今年も、来年も、
その一度きりが全部遊実といられたらいいなぁ…
「…へい?
翔平?!」
ハッと気付くと、遊実が何か手に持っていた。
「どーした?
寒くなってきた?」
動かないのは、やっぱり寒い。
「違うの…
これ… クリスマスプレゼント。
受け取ってくれる?」
モジモジっと、ラッピングされた袋をオレの前に出した。
「これって…」
袋を受ける。
それは、オレの好きなショップのものだった。
「開けていい?」
袋から目が離せず、返事を聞く前に開けだした。
中には、紺色のショップのロゴがシンプルに描かれたネックウォーマー。
それを手に取り、動けなくなった。
まさに、あの日…
オレが買おうと思っていたものだったから。