一番がいい!!〜番外編〜
階段の踊り場で、立ち止まる。
「…ゴメン。
朝、あいさつ返してくれたの気付いてなかったんだ。
何か言いたそうだったって智哉に聞いて…」
「ううん…
チャイム鳴ってたし、私の声も小さかったから…」
スカートをギュッと握りしめて、うつむいていた。
何か言わなきゃ…
勢いでここまで連れてきたけど、話すことがまとまってなくて、何から話していいのか…
すると
遊実が急に深く頭をさげて
「昨日は、ゴメンなさい!
助けてもらったのに、きちんとお礼も言えなくて。
知里をあれ以上危ない目に合わせずに済んだのは、智哉と翔平のおかげだった。
もう二度とこんなことしないから…」
この子は、やっぱりすごい…
ちゃんと自分の気持ちを言葉にできるんだ…
オレも負けじと深く頭を下げた。
「オレも昨日は、ゴメン!
言いすぎた…
あんなに言わなくても、遊実ならわかったことなのに…
カッとなっちゃって…
メガネで登校させちゃったのは、オレが泣かせすぎたから…」
「怒られて仕方ないことをした私が悪いの。
翔平は気にしなくていいの!
メガネは、泣いたからもあるけど、助けてもらったのにお礼が言えなくて気になって寝られなくて…」
「やっぱオレのせいだし…
遊実が無事なら、お礼なんてどーでもいい…」
「命の恩人に、お礼も言わないなんてあり得ないから!」
…なんだこれ?
2人でこんなに頭を下げあって!
「ぶっ…!!」
思わず吹き出してしまった!
ケラケラ笑いだすオレを見て、最初は不思議そうな顔をしていた遊実も、一緒に笑い出した。