ラッキー☆セブン
従業員出口から出て大通りの脇にある歩道を歩く。

今日は休日なのに何だか車の行き帰りが穏やかだなあ。なんて考えながら歩いていると前を歩く春山さんは立ち止まった。

気づいたら思ったよりも二人の間に距離が開いていた。

『ごめん、ちょっとはや歩きすぎたね』

慌ててすぐ近くまでかけていく。

『いえ、考え事してて、、、ごめんなさい!』

『んーん、、、、それってさ彼氏のことだったりする、、、?』

か、かか彼氏!?とんでもない!!

『ええええ!?いいえ!私彼氏いないですよ!?』

急いで否定する。何でそうなったんだろう?

『そっか、じゃあよかった。食事誘ったのはいいけど彼氏いたらまずいなって思ってさ。断りづらかったかなって』

ううう、彼氏とかいうから意識しちゃう、、、。絶対また顔真っ赤になってるはず、、、。

でも、心配してくれたんだ。てことは春山さんも相手はいないってことね。何か嬉しい。
少し安心したな。

『普段お仕事中はあんまりお話できないので色々お話聞きたくて、、、』

話したいってこと伝わってるかな?

『そうだね。何かプチ親睦会ぽくなりそう』

そう言って春山さんは無邪気に笑った。


2人だけの親睦会始まり始まり。



あっという間に目的地まで着いた。

入口に入るとすぐさま店員さんが現れた。

春山さんが、2名禁煙席でお願いしますと手短に伝えるとそのまま席に案内された。

時刻は午後3時半を回っていて、ランチの時間を過ぎていたため、ちらほらと空席が目立つ。

席に着くと座れた安心感か一気に空腹に襲われた。二つあるメニュー表の一つを春山さんが渡してくれてそれを見る。

サラダ、スープ、ハンバーグ、ドリア、グラタン、ピザ、オムライスなどなど。

どれも美味しそうでお腹鳴りそう。

『どれにする?』

『えっと、それじゃあ海の幸グラタンで』

『わかった、俺は日替わりAランチにするね』

ぴんぽーん。

店員さんを呼んで注文をし終える。

『松重さんさ』

お冷グラスを片手に彼は言う。

『はい』

そうだよ、プチ親睦会だよ、話さなきゃ。
アピールするチャンスなんだから。と自分を鼓舞する。

『木村さんと仲いいよね。女子高生同士だから話も合うだろうし』

ん、佐和子のことか。

『はい、すごく気が合うし仲良くしてます。通学路も一緒なんですよ』

まあ年は同じだからね、そういうことかな。
そう言ってお冷を少し飲んだ。すると、次の瞬間意外な言葉がかけられた。

『富田とはどう?』

へ、富田くん?専ら主婦受けのいい爽やかイケメンくんのことか。普通に仲良くやってるけど、、、?

『まあ、学校のこととか?少し』

と、ごく普通に返す。

『そっか』

沈黙。

何だろ。富田くんのこととかきいたりして。

『あのー、、、どうしてそんなこと?』

『ん?何となくね』

そっか、何となくか。

『あ、そうだ。俺姉がいるんだけどさ。こないだ娘産まれてそのお祝いパーティあってさ、プレゼント買うんだけど手伝ってくれないかな?予定合えばでいいんだけど』

『へえ、、、!おめでとうございます。是非お手伝いします!』

これでまた会う口実ができた。次も楽しみだなあ、なんて。こうして毎日わくわくが続けばいいのに。

『俺の用事ばかり付き合わせちゃってごめんね』

『いえいえ、普段お世話になっていますし。私でよければ』

私の方が願ったり叶ったりですよ。一緒に居れるんだから。


それから間もなくして料理が運ばれてきた。



『じゃあ食べようか』

『いただきます、、、!』

『いただきまーす』

お互い向かい合ったまま黙々と食べる。

普段気にしないけど男の人って結構豪快に食べるんだなあ。美味しそうに頬張ってて何だかかわいい。

こうして男の人と食事なんて初めてかもしれない。

『ふふふ、誰かと外食するの久しぶりで何だか嬉しい』

私がそう漏らすと向かい側の彼は笑った。


『俺も、松重さん一緒に居るとなんか落ち着く』

どきっ。私のせっせと動かしていたスプーンが止まる。

どういう意味だろう?

『妹と居るみたい』


い、妹? てことはきょ、兄妹みたいってこと?

『妹ですか』

少し声のトーンを下げて聞き返す。

『うん。俺面倒見いいからさ。いいと思うよ!』

なんて悪気無しに言うんだもん。




私、横に並べるのかな。


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