好きに変わるまで
大嫌い
「うっす、汐奈!……って、機嫌悪いなおい」


パシッと背中を叩かれ、声をかけてきたのは友達の雛乃だった。


「……もう私最悪なんだけど」


「何で?」


「隣が……佐伯優なんだよ……」


「あーあの顔面だけが取り柄の?」



え、顔面だけが取り柄?
あいつ顔良かったっけ?
ちゃん見てないからわかんないや。


「あいつたらしらしいからねー。
あんたもほだされんなよ!」


他人事みたいに言って……!
くっそ……。


今日は午前だけのため、1人で帰宅する。
他の子は自転車や徒歩通学。

この学校で、電車通学なんて私ぐらいかもしれない。


「え、お前電車なの?」




前言撤回。
こいつも電車かよっ!


ていうかなんで今まで一回も合わなかったの?

ある意味奇跡じゃん。
だったら最後まで知らないまんまでいたかったよ。

また小さくため息をつくとおい、と声をかけられた。








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