true self ~性~
思春期
「静香ー
起きなさいー
朝やでー。」

ーAM7:00ー

俺の朝はお母さんの
俺を起こす声から始まる。

俺は眠い目をこすりながら
身支度を始める。

お母さんが買ってくれた
お姉ちゃんとお揃いの
女の子らしいパジャマを脱ぎ
長い髪の毛を洗面所で整えて
女の子の下着を身に付けて
セーラー服を着て
今日も一日
女の子として
演技をする。

学校に行けば
女の子の輪に入り
話題のドラマの話や
アイドルの話。
そして好きな人の話。
みんなと変わらない
普通の女子。
いつも元気印で笑っている
ひょうきんな女の子。
それが俺の学校でのキャラ。

「よしっ!!!」

今日もいつものように
鏡の前で笑顔の練習をして
気合いをいれる。

そして家族が待つ
リビングへむかう。


♪今日の星座第一位は射手座のあなた~♪

「やった!!
しぃ今日星座1位や~!!」

「本間に女の子は
占いとか好きやな~。」

はしゃぐ俺を見て呆れながら
優しく笑うお父さん。

「当たり前やん!
女心わかってないな~!」

お父さんの背中を叩きながら
突っ込みをいれる。


女の子は占いが好きって
それが乙女心って
友達が言ってたのを
自分の言葉のように話して
ふと不安に思う。

ちゃんと女の子として
見える?
本間の俺ばれてない?

そんな事を考えているので
女の子という風に言われて
女の子扱いされると
安心していた。

でも安心と共に
心が凍っていく。
本当の自分がなくなっていく。
作り物の偽りの自分が
出来上がっていく。

なぁ俺はいつ本当の自分を
人にみせれる?
いつ堂々とみんなの前で
俺って言える?
いつになれば本当に好きな
女性(ひと)に好きって言える?

そんな気持ちは虚しく
今日も女の子としての
一日が無情にもはじまっていく。

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