true self ~性~
学校に着くとまず
俺はトイレに向かう。
俺は家が学校から遠いため
自転車通学のため
服や髪が乱れる。
それをそのままにしてたら
友達に女の子として
良くないと言われたので
その日から髪の毛や
服を気にする女の子らしい
自分を演じている。


・・・・・・ドンッ!!!

<!?>

背中にズシッと
人の重さが伝わる。

ふと見ると友達が
笑顔で俺の背中に
抱きついていた。

「しぃおはよ~!!!!」

「あぁ、おはよう!
めっちゃテンション高いやん(笑)」

「昨日な~一緒にかえってんけどな
初めて手繋いでん~!」

「おっ!ついに!?
良かったやん!!」

「も~ドキドキした~!!
恥ずかしくて顔見られへんかったし
今日帰るときも意識してまうわ~!!」

嬉しそうに彼氏との事を話す友達。

・・・・・!?

「やっぱさ~男の人は
手大きいから包まれてる感じで
それがまた守られてる感じが
するねんな~!!」

俺の手を握りながら
昨日の事を思い出して
頬を赤く染めていた。

中学生になると
体格も徐々に男子と変わってきて
男子は筋肉質になり背も伸びて
グッと男らしくなる。
女子は体が丸くなってきて
胸が膨らんできて
月経が始まる。

そういう変化が起こるほど
俺は自分が女性と認識して
女性らしくいなければ
という気持ちになる。

違和感しかないこの体が
嫌で仕方なかった。

自分の体なのに変化に
気持ちがついていかない。

自分にはなぜ胸があるのか。
なぜ女の子の体になっていくのか。
生理痛の辛さが俺には
悔しくて仕方なかった。

そして何より
俺は女子になればなるほど
好きな人に好きと
伝えることすらできない。

伝えると友達にすら
いれないことは
アホな俺にもわかっていた。

友達に相談したくても
友達に避けられることも
気付いていた。

一人でこの気持ちを
抱えるしかなかった。

そして好きな人の恋を
応援するしか俺には道がなかった。

そんな自分が怖かった。
性同一性障害なんて言葉
知らなくて自分はおかしいと
思っていたから
俺は今日も男子を
好きなふりをしていた。

「静香!!
ちょっとしゃべろ~!」

「しぃ彼氏来たで!!
行っといで!!
じゃぁまた後で喋ろ~!!」

「ごめんな。
将!先に4階行ってて~!
後から行くわ!!」

「わかった~!!」

俺は普通になるために作った
彼氏を好きになるために
話したり一緒にいたりしていた。

どうか普通になって
みんなと一緒になれますように。

そんなことしか考えてなかった。

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