君のそばにいたくて

「 おはようございます。 」

「 お、亜嵐おはよう。 」

手をひらりとあげては
そそくさとどこかへ行く先輩。


「「 すみませ-ん、今日からお世話になります。 亜嵐さんいらっしゃいますか? 」」

入り口で大きな声で話す
方をパッと見ると
喋っているのは成瀬とは違う。
別人だった。

「 はい、私が亜嵐ですが。 」

少し不安そうに相手の顔を見ては、

「 あ、あなたが亜嵐さん。
  ごめんね、成瀬少し送れるみたいで
   付き添いの嘉納です。 」

そういって嘉納さんは深々と
お辞儀をした。

( ― 成瀬すごいな、付き添いもいるのか )

「 よろしくお願いします。 」

嘉納さんに笑顔を振りまいて、
名刺を渡した。

「 あ、嘉納さん。新人の亜嵐なんですが、
  よろしくお願いします。 」

とお辞儀したのは。

「 お父さんかよ 。」 

やっぱり深瀬さんだった。 
< 12 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop