君のそばにいたくて
「 おはようございます。 」
「 お、亜嵐おはよう。 」
手をひらりとあげては
そそくさとどこかへ行く先輩。
「「 すみませ-ん、今日からお世話になります。 亜嵐さんいらっしゃいますか? 」」
入り口で大きな声で話す
方をパッと見ると
喋っているのは成瀬とは違う。
別人だった。
「 はい、私が亜嵐ですが。 」
少し不安そうに相手の顔を見ては、
「 あ、あなたが亜嵐さん。
ごめんね、成瀬少し送れるみたいで
付き添いの嘉納です。 」
そういって嘉納さんは深々と
お辞儀をした。
( ― 成瀬すごいな、付き添いもいるのか )
「 よろしくお願いします。 」
嘉納さんに笑顔を振りまいて、
名刺を渡した。
「 あ、嘉納さん。新人の亜嵐なんですが、
よろしくお願いします。 」
とお辞儀したのは。
「 お父さんかよ 。」
やっぱり深瀬さんだった。