好きだと言ってほしいから
「は、はい……」
ついにこの時がやって来た。私の鼓動は、逢坂さんにも聞こえてしまうのではないかと思うくらい大きな音を立てている。胃がキュッと締め付けられて今にも気を失いそう。膝の上で握った両手が汗ばんできた。
だけど、私はもう決めた。ちゃんと笑ってさよならするって。笑顔で彼を応援するって。
「今日の話のことだけど……」
声が出なかった私はこくりと頷く。逢坂さんの視線を全身に感じながらやっとのことで顔を上げた。
「俺、この会社に入社して暫く経った頃に、海外統括グループに転属願いを出したんだ」
「そ、そう、だったんです……ね……」
統括グループは生産部門全体を管理、統括する部署で、子会社も含め全ての生産活動をコントロールするところだ。国内に一つ、海外に一つあり、逢坂さんが希望したのは海外の方だ。ウチの会社ではエリート中のエリート、最も優れた人材しか配属されないと聞いている。そんなところに転属になる逢坂さんはやっぱりすごいんだと改めて思う。そんな部署に、彼は入社してすぐ、希望を出したということだ。
「希望を出したのはいいけど、勿論そんなに簡単に希望が通るなんて思ってなかった。俺はまだ社会に出たばかりだったし、実際、何年経っても声はかからなかったよ」
私はまた頷く。
「そうして二年が経ったとき、麻衣が入社してきたんだ」
逢坂さんが私を真っ直ぐ見つめた。視線が逸らせない。
「本当に、驚いたよ……」
ついにこの時がやって来た。私の鼓動は、逢坂さんにも聞こえてしまうのではないかと思うくらい大きな音を立てている。胃がキュッと締め付けられて今にも気を失いそう。膝の上で握った両手が汗ばんできた。
だけど、私はもう決めた。ちゃんと笑ってさよならするって。笑顔で彼を応援するって。
「今日の話のことだけど……」
声が出なかった私はこくりと頷く。逢坂さんの視線を全身に感じながらやっとのことで顔を上げた。
「俺、この会社に入社して暫く経った頃に、海外統括グループに転属願いを出したんだ」
「そ、そう、だったんです……ね……」
統括グループは生産部門全体を管理、統括する部署で、子会社も含め全ての生産活動をコントロールするところだ。国内に一つ、海外に一つあり、逢坂さんが希望したのは海外の方だ。ウチの会社ではエリート中のエリート、最も優れた人材しか配属されないと聞いている。そんなところに転属になる逢坂さんはやっぱりすごいんだと改めて思う。そんな部署に、彼は入社してすぐ、希望を出したということだ。
「希望を出したのはいいけど、勿論そんなに簡単に希望が通るなんて思ってなかった。俺はまだ社会に出たばかりだったし、実際、何年経っても声はかからなかったよ」
私はまた頷く。
「そうして二年が経ったとき、麻衣が入社してきたんだ」
逢坂さんが私を真っ直ぐ見つめた。視線が逸らせない。
「本当に、驚いたよ……」