好きだと言ってほしいから
「……逢坂さん」

「ごめん、迷惑かけて……。俺、ついカッとなって……」

「逢坂さん、どうして……葵ちゃんと一緒だったの?」

 彼が来たとき葵ちゃんもいた。同じタイミングだったからきっと二人は一緒に来たのだ。
 彼が視線を彷徨わせる。うろたえている。

「麻衣、俺……」

 言葉を選んでいる彼に、私は唇を噛み締めた。彼が何を言いたがっているのか分からなくて緊張する。まさか葵ちゃんと、なんてことは疑っていないけれど、こうして一緒にやってくるほど、二人は親しくもなかった。

「麻衣、よかったね」

「へっ?」

 葵ちゃんにポン、と肩を叩かれる。振り向くと、笑顔を浮かべた葵ちゃんと、その隣で彼女の肩に手を置いて抱き寄せる平岡くんがいた。

「えっ? 葵ちゃん? 二人が、どうして?」

「ごめんな、麻衣。ちょっと一芝居させてもらったんだ。だけどこれで分かっただろ? 悪く思わないでくれ」

「えっ……?」

 平岡くんが逢坂さんの前に出る。

「逢坂さんも、すみませんでした。さっき言ったことは全部嘘です。俺、コイツと付き合ってるんで」
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