【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

そう言って笑う詩織は、なんだかすごく大人びて見える。



でも言われて「そっか」って思った。



「桃果だって、このまま気まずいの嫌なんでしょ?

だからそんな元気ないんでしょ」



そ、それは…。



「……うん、まぁ」


「じゃあちゃんと伝えてきなよ。

誤解は解いておかなくちゃ。

翼くんきっと落ち込んでるよ?」


「…そ、そうかしら」


「うん。男心ってけっこう繊細なんだよ?」



…とか言っちゃう詩織は一体何者なんだろう。


いつも彼女のアドバイスは冷静で、大人だ。


私が子供っぽいだけ?

すごいわ…。



「…そ、そうね」



でもなんかちょっと、すっきりした。


答えが出たような。


モヤモヤしていた気持ちが少し晴れた気がする。

詩織のおかげで。



黒瀧くんに一応、謝っておこうかな。


なんだか癪だけど…。


このまま気まずいのも落ち込まれるのも嫌だし。


彼にはやっぱりいつもどおり、笑っててほしいって。


そんなふうに思った、昼休み。


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