【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

なんだかもうまるで芸能人でも登場したかのようだ。


もとから品のある彼は、王子の衣装なんか着るともう、どこから見てもリアル王子様にしか見えなかった。


本人はちょっと恥ずかしそうだけど…。



隣にいた白百合さんもさっそく見とれてる。



「わあぁ、さすがつーくん、王子様の衣装似合ってるね。

素敵っ!」


「はは、そうね…」



だけどその瞬間、何かが引っかかった。



え…。


アレ…??


なんか今、聞いたことのない名前が…。



「え?つーくん?

つーくんって…ダレ?」



思わず問いただす。


すると白百合さんはきゃはっ、とはにかんだような顔で答えた。



「あ、ふふふ。うん、実はね…

昨日から黒瀧くんのこと、つーくんって呼ばせてもらうことになったの。

翼だから、つーくん。名字だと堅苦しいかなって思って〜」


「…ハ?」


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