【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

白百合さんは悔しいけれど、やっぱりとても美しかった。


彼女が現れた途端体育館中に大歓声が起こって、まさに選ばれたヒロインって感じ。


笑顔も仕草もヒロインそのもの。


心配していたセリフのミスもなく、彼女にしてはかなり頑張っていたと思う。


翼くん演じる王子も完璧だった。


息がピッタリの二人を、舞台袖からそっと見守る。


胸がぎゅっと痛くなるけれど、逃げ出したい気持ちをグッとこらえた。



.


*


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「…そして悪い魔女を倒した王子は無事森の奥へと進み、すると七人の小人が彼を迎えてくれました」



そして劇はいよいよクライマックス。


魔女の私は出番も終わり、ほっと一息。


だけどある意味ここからがドキドキだった。


一番見たくないシーン…。


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