【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

白ひげの校長がにこやかに喋る。


だが、肝心のモモがそこにいなかった。



「はい、魔女を演じた有栖川さんには演技賞も贈られています。

えぇーと、お話聞いてみましょうか。

有栖川桃果さーん!」



ーーシーン…。



「あれ?有栖川さん?

いませんねぇ…。おかしいなぁ…」



ざわつく生徒たち。


壇上はもちろん、ステージから見下ろしてもどこにもモモの姿は見当たらない。


あの格好でいたら誰かが気付くはずだ。


それでも見つからないということは、おそらく体育館から出て行ったということだった。


不安が的中する。



「有栖川さーん!

あれ、どこにもいませんかー?」



司会はさらに呼びかけるものの、反応はない。



やっぱり。本当にいないのかよ…。


もしかして、さっきの……



そう思った瞬間、俺は無意識に舞台から飛び降りていた。



ーーダンッ!



「「…きゃあぁあ〜っ!!!

王子がっっ!!」」


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