【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。
「はぁ、出たわ。桃果のワガママ病」
「…っ、ワガママじゃな〜いっ!」
私の前の席に座って、親友の藤原詩織(ふじわら しおり)が呆れながらため息をつく。
彼女とは中等部からの付き合いで仲がいい。
今日も朝から私は彼女のダメ出しをくらっていた。
「だいたいねぇ…これで何回目よ?
ピアノが上達しないのは桃果が練習しないせいでしょ?
それなのに先生が気にくわないから変えたいって、そんなこと言ってたら続かないよー?」
「だってだって…、あの先生最近なんかピリピリしてて嫌なんだもん。
彼氏とうまくいってないからって私に当たってるのよ、絶対。
私もあんまり練習してないけど、先生だって…」
「ほら、やっぱしてないんじゃん」
「…うぅっ」
「あんまりワガママ言うもんじゃないわよ?
お姫様」
「……」