【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

嫌味のように言ってのける。


だってまだ納得がいかないし。


だけどそんな気持ちとは裏腹に、お腹はすくばかりで。


漂ってくるいい匂いに反応してしまう自分がいた。


べつに、デートじゃなかったら…本当は好きなのになぁ。

お好み焼き…。



黒瀧くんは手際よく焼いてくれてる。


器用なのか、返すのもすごく上手だった。



ほんとになんでもできるんだこの人…。



「ほら焼けた。

ソース俺が塗っちゃっていい?

青のりと鰹節かける?」


「あ、青のりはいらない…!」


「オッケー」



私がむすっとしたままなのに、気にしてないのか彼はずっとニコニコしてる。


いつだってその大らかな態度が不思議でならない。

図太いのかしら…。


全然怒ったりしなさそうなんだもん。


だからこそ、ますますワガママを言ってしまいそうになる。


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