Tell me !!〜課長と始める恋する時間





「何、訳の分からない事、言ってんすか。下手な断り方。断るならもうちょっと気の利いた事言ってよ。ほら、もうこんな時間ですよ。行きましょう。」




そう言うと乾くんは何事も無かったかの様に立ち上がった。


やっぱりそうだと思った。


私の言葉に明らかに反応したもん乾くん。


乾くんの一番は私じゃない。


乾くんの心の奥深くにいるのはきっとーーー


「あっ、言うの忘れてましたけど今週末、雉原さんから召集掛かってます。詳しくはまた。じゃ、俺行きますね。」


ドアの所で振り向き様に言うと乾くんは先に出ていってしまった。


一人になった途端、さっきの乾くんを思い出して急に赤面する。


んもぉ、本気で好きでもない女にあんなことしちゃいけないでしょ。


年上をからかうなんて生意気な。


しかし、瞼を閉じた乾くんの顔、やはり色っぽかったよねぇ…。


いい男だわ。


ちょっとテンション上がったよね。


さっきまで落ち込んでいたのに現金な自分に笑えてくる。


さてと、仕事は仕事。


気まずくてもやらなければいけないことは山ほどある。


私も荷物を纏めると漸く資料室を後にした。



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