Tell me !!〜課長と始める恋する時間
私からの思わぬ提案に戸惑っている課長を無視して、手提げ袋からたこ焼きの入ったパックを広げる。


私と課長の間に出来ているスペースに置き、一つ頬張った。


やはり、完全に冷めて冷たくなってる。


それでも生地にも味がしっかりついててとても美味しい。


「課長も、どうぞ。爪楊枝もう一本ありますから。」


戸惑いながらも恐る恐るたこ焼きを口に入れる課長。


こんな時に思うのもなんだけど、たこ焼き食べる姿もやはり綺麗だよね。


だけどたこ焼きなんてものはバクバク食べなきゃ。


私が二つ目、三つ目と口にどんどん入れていくので課長も釣られて食べ始める。


黙々と会話もなくただ食べる。


そして、全て食べ終わった時、心の中で念じる。


どうか上手く言えますように、と。


「課長、私達、終わりにしましょう。」


ちゃんと笑顔で言えてるだろうか。


泣きそうな顔してないだろうか。


「明日からはまた部下として一生懸命働きますので、どうぞこれまで通りご指導ください。」


そう言って頭を下げる。


一瞬、鼻の奥がツーンとしたけれど、今、涙を溢すわけにはいかない。


顔を上げ、出来る限りの笑顔で言う。


課長の記憶に私の泣き顔なんて残したくない。


一つ息を吸い込むと課長に言った。






「課長、課長と恋する時間はこれにて終了です。」











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