Tell me !!〜課長と始める恋する時間
結局、ムードも下手くれもなくなってしまい課長とのハジメテはお預けとした。


私の独断で。


「前に言いませんでしたか?僕は体の相性も重視したいと。さっさとヤらせて貰えれば良かったのですが。」


うちの家に向かう車中で課長がボヤく。


実はうちの家族が課長を夕飯に招待しているのだ。


今回の騒動があってからまだ課長とのことをうちの家族にちゃんと話せてないしね。


なのに…


さっさとヤらせて…って課長の口からそんな暴言が出るなんて。


整った顔で運転する課長の横顔は相変わらず、たまんないんだけど、言ってることサイテーだよね。


「真顔でそんな事、言うのやめて下さい。」


「桃原さん。そんな事と言いますが大事な事だと思いませんか?いくら、思いが通じ合ったと言え、体の相性がイマイチとなれば死活問題に関わります。」


死活問題って…


「課長、大事なのは心でしょ?ハートです。体の相性なんて…えっ、じゃあ、もしですよ、もし、私と体の相性がイマイチだったらどうするんですか?」


ふと、気になった。死活問題とまで言うくらいなのだから、もし、イマイチ合わなければ…


「大丈夫です。君は僕が初めて本気になった女性です。合わないワケがない。いや、僕好みに調教するまでです。」


車をスッと停めると私の座る助手席に手を掛ける課長。


「調教って、課長…」


課長の顔が近付いてくる。


今の私達は見つめ合うとまるで磁石のS極とN極のように互いを直ぐに引き寄せてしまう。


「やはり今日は君をこのまま連れ去りたい…」


私だって課長に連れ去られたい。


課長の唇が触れそうになった時、運転席側の窓ガラスをコンコンと叩く音が。


課長が触れそうになっていた唇を離すと動じることなくゆっくりと窓ガラスを下げた。










「姉ちゃん、チウ終わってからでいいから、ネギ買って来てよ。マミーに頼まれたんだ。カチョーさん、お久ぁ。」


「マ、マサルっ。」


しまった…


うっかり、また家の前で車を停めてしまった。


って言うか


「課長、何を呑気に買ってくるのは白ネギか万能ネギかって確認してるんですかっ。」


はぁ…、連れ去ってもらうのは当分先だな。




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