Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「続行も何も、じゃないのですか?」


いや、だからそうじゃなくて、女子はさぁ、いつだって言葉でちゃんと伝えてほしいわけよ。


と言う私の気持ちを察してと熱い視線を送る。


「はぁ…、なんと面倒な。」


「課長。」


今こそはスノーマンに負けないくらいの冷やかな視線を投げつけた。


「いえ、分かりました。確かに曖昧なままではいけませんね。あっ、曖昧で思い出しましたが、桃原さんこの前、出していたデータの件ですけど、一部曖昧な表記であれでは説明がつかなくて…」


「えっ、またミスってました私?」


今度は私が冷やかな視線を受ける番かと不安な顔をすると、


「冗談ですよ。桃原さんに言われっぱなしでは面白くありませんので。」


「もぉ、課長。」


課長の冗談は時に冗談で済まない事があるんだから。


「では、改めて。桃原さん、僕と正式にお付き合いをしていただけますか?」


課長が私の目を見て微笑みながら言ってくれる。いつだって無表情だと思っていた課長がこんなにも優しい表情を見せてくれるなんて…嬉しさで胸が締め付けられる。


「はいっ、喜んで。」


笑顔で私が応えると課長が眼鏡を外してスーツの胸ポケットにしまう。


それは合図。


これから私達に始まる甘い時間の訪れを知らせてくれる。


私はその合図に従ってそっと瞼を閉じーーー


「あっ、でも課長、もう昼休み終わっちゃいます。」


「桃原さん、僕の時計ではあと5分と30秒ほどあります。二人で過ごす時間をめいっぱい楽しまなきゃ、とは思いませんか?」


5分と30秒って言い方はあれだけど、課長がそんな風に言うなんてとても嬉しい…。


確かにこれからは二人で過ごせる時間をもっともっと楽しまなきゃだね。


いつかみたいに人差し指で頬をゆっくりとなぞられ顎の先に。


「課長…」


眼鏡を外した課長の顔にまだ慣れなくて恥ずかしさでつい、俯いてしまう。


人差し指で顎をクイッと上げられると











ーーーさぁ、僕達の恋する時間の始まりです








そう言った課長の唇がゆっくりと重なった。








【Tell me!! 〜課長と始める恋する時間】















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