Tell me !!〜課長と始める恋する時間
期限付きで付き合ったとして3ヶ月後に課長が本気で私の事を好きになってくれるかなんて分からない。


正直、その時に受けるであろうダメージを思うと辛い。


だけど、思いが通じなかったとしても他の人じゃなくてその役目は私でありたいって思ったから。


これからの3ヶ月間、出来る限りの事をしてみようって。


私の好きって言う気持ちを精一杯課長に伝えてからにしようって。


恋を終わらせるのはそれからでも遅くないんじゃないかなって決めたんだ。


「返事を?」


課長の細い指先がくっと曲がり顔が自然と上を向いてしまう。


目の前には課長の整った顔。その顔を睨みつけるように私の決意をぶつける。


「課長を本気にさせてみます。私が、課長に一から本気の恋を教えます。きっと、好きだと言わせてみますから。」


真っ直ぐ目を反らさずに言った。


私の背後にあるガラスの向こうではみんなが仕事をしている。


ガラス一枚隔てて誰も私と課長がこんな風に密室で見つめ合っているなんて知らない。


私の言葉を受けた課長は「それは、なんとも頼もしいですね。」と言いながらゆっくり顔を傾け近づけてきた。


課長の目から目が離せない。すると、


「昨夜、化粧を落とさず寝ましたね?」


唇が触れそうな距離で唐突に言われ驚いて目を開ける。


「えっ?」


「顔が酷く荒れてます。鼻の横あたりの乾燥も酷いな。」


な、なんですって?


また、からかわれた?


「もぉ、からかうのやめてくださいっ。」


「からっているつもりはないけど、つい目に入ったのであまりにも残念な事実を先にお伝えしようかと……」


「残念な事実って……」


でも面白がってるのは間違いないよね。実際、課長の口角は上がっている。


「それと、」


「まだ何か?」


どうせシワもたくさんあるとか何とか言うんでしょ?


「訂正の件ですが、先程僕が修正しておきました。」


あっ、そっち。


やっぱりミスってたか…。


「す、すいません……。」


としか言えない。




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