Tell me !!〜課長と始める恋する時間
そして月曜日。朝、起きてくるとお母さんはちゃんと多めにお弁当のおかずを用意してくれていた。しかもちゃんと綺麗に詰めてくれてて後はご飯を入れるだけなんだけど…折角だし、おにぎりを作った。


よしっ、これでいいよね?我ながら上出来じゃんっておにぎり作って詰めただけだけど。


でもほら、おにぎりとかもちょっとした事で美味しそうに見えるし、見栄えが随分と変わるからね。まぁ、今日は海苔巻いただけだけど。


お母さんはそんな私の様子をさっきから見てみぬフリでお父さんと朝ご飯食べながらテレビの天気予報見て話してる。


もちろん、ゆるゆる大学生マサルはまだ就寝中。


はぁ…私、なんで朝ご飯要らないって言ったのかなぁ。気のせいか、今日の朝ご飯豪華に見えるんだけど。だけど仕方ない、お母さんにああいった手前、今日は朝抜きで行くしかないよね。


会社近くのコンビニでなんか買おうっと。  


「じゃ、私、行くね。」


「なんだ、杏子、いつもより早いじゃないか?もうちょっと待ってくれたら父さんも一緒に行くけど?」


「それはいい。お母さん、お弁当ありがとう。行ってきまーす。」


退散、退散。だってお父さんと一緒に会社へ行くとかだけは嫌だ。絶対、土曜日の事、聞いてくるに違いない。それも遠回しにしつこくネチネチと。簡単に想像つくもん。


駅までの道のりを歩いていてふと思う。いつもより出掛ける時間がほんの少し早いだけで何だか景色も違って見える。


私がいつも出掛けている時間だともう少し人がいるけれどこの時間は疎らだ。


それだけで何となく気分が良い。朝の澄んだ空気をいつもよりたくさん感じる。


これも早起きのお陰だな。


にしても……このお弁当どうやって渡そうかな。あっ、とりあえず、折角、連絡先聞いたんだからメールだけでもしておく?


いや、待てよ。こんな朝早くからメールとかしようものなら、何を言われるか分からない。


きっと、「緊急の電話かと思い、驚いたじゃないですか。」(眼鏡、キラーン)みたいな。
 

うん、止めておこう。


とりあえず、会社に行ってからだな。しかし、お腹空いたぁ。早くコンビニ寄って10秒チャージだな。





 

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