Tell me !!〜課長と始める恋する時間
次の日、手持ちを選びたいからと早めに待ち合わせをした私と課長。


夕飯を家で食べる事になってるから少し早めの4時くらいに家に帰れば良いよね?


それまで2時間はあるからお茶くらい出来るかなぁ。


なんかもうこれってデートじゃん。


て言うか、お茶くらいで喜ぶ自分が痛々しいわ。


だけど、課長と休日を過ごせるんだから嬉しさが自然と込み上げる。その後の地獄は今は忘れよう。


待ち合わせ場所で待っていると何やら周りがざわつき始めた。


そう課長の登場だ。


流石にスーツ姿では無いけれど、家に来る事を意識してかこの前の映画デートの時よりは少し固めの服装だ。


濃紺のパンツに白の綿シャツを品よく着こなし、そして濃いグレーの軽めのジャケットをその上に羽織っている。


手には黒のハーフコート。


一瞬で周りの視線を集めた課長がゆっくりと私の方へと近付いてくる。


ほら、素敵でしょ?


あの人、私と付き合ってるんですぅ。


但し、三ヶ月だけどね。


それでも大きな声で叫びたくなるくらい誰が見てもイケメンの課長が私の元へとーーー


えっ、過ぎてった?


スルー?


「課長っ。」


慌てて呼び止める。


「ああ、そこにいたんですか。気付きませんでした。」


まっ、こんなもんですよねぇ。


「早速、行きましょう。」


そう言って、さっさと歩き出す課長。


課長、私の右手、暇してますよ?


ほら、ぷらーんぷらんしちゃってますよ?


「なに?トイレですか?」


じゃねぇよ。ここ来る前に緊張して3回も行ってきたし。


はぁ……無理だよねぇ。


課長と手繋ぎデートとかねぇ。


へぇ、へぇ、昨日の今日で期待したあっしが悪ぅございました。


「いえ、大丈夫です。行きましょう。」


早速、進み出した課長がまた直ぐに立ち止まる。


すると、


「貸して。」


と言って手を差し出す課長。


この期に及んでまさか、財布忘れたからお金貸してとかじゃ無いですよね?


「手、繋ぎたいんでしょ?」










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