Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「えっ?」


「ほら、人も多いしはぐれるといけないから。」


と課長の左手が差し出される。


「あ、ありがとう…ございます。」


確かに土曜日の午後という事もあり、駅もその周りも人でごった返している。


素直に手を出すとスッと繋いでくれた。


嬉しい。


たったこれだけの事なのに、胸がきゅっと締め付けられるくらい嬉しい。


課長にしたらなんて事ないんだろうけど。


隣に並ぶ課長のお顔をうっとりと眺める。


「そのだらしない顔を今すぐ何とかしなければ、ここに置いていきますよ。」


ヒィっ…


本気だ。目がいつも以上に笑ってないし。


ニヤける顔をぐっと引き締め、更に混み合うデパ地下へと向かった。



< 80 / 211 >

この作品をシェア

pagetop