Tell me !!〜課長と始める恋する時間
結構、時間掛かっちゃったな。


目的の我が家への手土産をゲットできたもののゆっくりお茶をするような時間は無くなった。


課長を見るとーーー


ヤバい。


課長って人混み駄目なんだった。


頗る機嫌が悪い。


「課長?大丈夫ですか?あっ、ほら、あそこのカフェにでも入りますか?少しくらいなら、」


家には少し遅れると連絡すればいいよね。


私達の場所からも見えるお洒落目なカフェを指差すと


「店の前に人が列を成しているあの店に行くというのですか?桃原さん、それは正気なの?」


やっぱり?


だよねぇ。


課長、人混み嫌いだっていってるもんねぇ。


「どこもかしこも混んでますね、今日は。」


クリスマスは昨日だったというのにすっかり街中やデパートはお正月仕様に早くも切り替えられている。


そんな雰囲気も人々を一層、忙(せわ)しくさせるのかもしれない。


「遅れるのも失礼ですし、早速、向かいましょう。」


仕方ないか。


お茶デートはまたの機会だな。


電車に乗るべく私達は改札へと向かった。


電車は行ってしまったばかりで駅のホームに並び次の電車が来るのを待つ。


やはり平日ほど続けて何本も来ないね。


けれどこのちょっとした時間が嬉しかったりもする。


電車を待つだけなんだけど、なんでもないこの時間が大切に思える。


私、前よりもずっとずっと課長の事、好きになってる。


課長と過ごす時間が増えるのと同時に私の好きっていう気持ちも確実に増えてってる。


課長と二人で電車に乗るなんてついこの前まで想像もしなかったのにな。


けれど恋する女は貪欲のようだ。


課長が手土産を持つ為に離された私の右手が再び随分と寂しがっている。


次の電車がホームに入ってきたものの、降りる人と乗る人とでかなりごった返していた。


圧倒されていると離されていた手を課長にまた取られそのままぐいぐいと電車内へ引っ張られる。


「3つ向こうでしたよね?」


一瞬の出来事に何の話か頭が回らない。


「最寄り駅の事ですけど?」


「あっ、えっとそうです。3つ目です。」


何とか課長に手を引いて貰い中に進むことが出来たけど座席の方まではとてもじゃないけど進んで行けない。





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