Tell me !!〜課長と始める恋する時間
既にフルマラソンしたくらいの疲労度がある。


けれどこれから更にトライアスロンをするくらいの覚悟がいるのだ。


家の玄関先で一息つく。


「課長、やっぱりやめましょう。」


「何を言うんです、桃原さん。ここまで来たら観念するのです。」


「課長、潔いですね。」


「僕を誰だと思ってるんです?」


この自信、どこから来るんだろうか。


「とにかく、逃げても仕方ありません。さぁ、ドア開けてください。お待たせしていてはご家族に申し訳が立ちませんので。」


しゃあない、私も潔く……でもなぁ。
 

課長を恨めしく見ると顎で早く開けろと促される。


へいへい、開けますよ。


地獄の門を開けましょう。


「ただいまぁ。課長、お連れし、」


「いらっしゃいませ、お待ちしておりましたわ。」


お母さんが玄関先で三指付いてお出迎えしていた。


「お母さん、な、なにしてんのよ、そんなとこで。」


しかも、化粧が2割増、濃い。


そして美容院に行って来ました感溢れてんだけど。


いかにもなオバ様パーマネントの我が母を痛々しい目で見てしまう。


「あら、杏子。なにしてるってうちはいつもお出迎えはこうでしょ?変な子ねぇ。ささっ、課長さん。奥へどうぞ。おほほ…」


駄目だ、もう既に先行き怪しくなってきた。


















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