生徒だけど寮母やります!2
私の寮母生活8
動き出します!
5月下旬
一年生も新しい学校生活に慣れてきたころ
学校には高校生活を彩る一大イベント、
文化祭のシーズンがやってきた
「千冬ー、悪いんやけどこれ運ぶの手伝ってー」
「分かった、今行く」
千冬はクラス前の廊下で弥隼が大きな段ボールを抱えているのを見ると、作業の手を止めて頷く
「えーっ、千冬君行っちゃうのー?」
「ごめん。申し訳ないけど弥隼を手伝ってくる。後はお願いするね」
「残念ー」
女子たちの元から離れ弥隼から段ボールを受け取った千冬は
「ありがとう、ちょっと困ってたんだ」
と肩を落としてため息をついた
「千冬は見た目華奢やから、女子と同じ仕事に回されんねん」
「そんなに華奢かな.....身長だって弥隼より少し低いくらいだし」
「確かに身長はそんな低く無いけどな。意外と力もあるし。でもその白い肌と細い腕と.....」
「そんなに白くない」
「白い」
廊下を2人並んで歩いていると、今だって千冬は女子たちの視線を感じていたたまれないような気持ちになる
弥隼の事はカッコイイと騒ぐ女子たちも、自分の事は綺麗だとか言ってくるのだ
男子生徒に対して綺麗だと言ったところで、喜ぶとでも思っているのか
なんでこんなキャラが確立してしまったんだろう.....
千加だって可愛いだとか綺麗だなんて言葉では褒められたりはしないだろうに
千冬は抱える段ボールを虚ろな目で見つめてから
「それで.....この段ボールは廃棄?」
と元気のない声で尋ねた
「いや、さっき市河先輩からいらない段ボールが余ってないかってメールがあったから、廃棄予定のやつを集めて持ってく事になってな」
「そうなんだ。じゃあ2年1組に行けばいいんだね」
「そういうこと」